椋野美智子の研究室にようこそ

椋野美智子の研究室にようこそ。この部屋では、社会保障や地域と福祉について椋野美智子がかかわったこと、考えたことをお伝えしていきます。

2018/01/24

保健医療分野における創造的ソーシャルワークの実現に向けて



日本ソーシャルケアサービス従事者研究協議会の賀詞交歓会で日本医療社会福祉学会副会長として述べたスピーチを紹介します。
私はもともと社会保障、福祉の政策研究を専門としておりますが、1989年の最初の医療ソーシャルワーカー業務指針作成を厚生省で担当したご縁から本学会に参加いたしました。
従来、ソーシャルワークの研究と福祉政策の研究は必ずしも十分な連携をとられることなく進められてきました。しかし、医療・介護においては地域包括ケアシステム、福祉においては地域共生社会の実現に向けて諸政策が進められております。
管理され均質化された病院や施設と異なり、地域はまさに多様であり、そこで行われるサービスや支援の詳細を制度でつくりこむことは限界に来ています。
従来、ともすれば制度の枠内での支援の当てはめに終始する援助者も多く、制度もそれを前提としていましたが、今後は、一人ひとりのニーズに合わせて制度を使いこなし、必要とあればその改善を提言する、創造的なソーシャルワークへの期待が大きくなっています。そして制度にはそれを可能とする設計が求められています。
つまり、ソーシャルワークと福祉政策が研究においても実践においても、より連携を強めるべき時代になってきているのです。
日本医療社会福祉学会は小さな学会ですが、保健医療分野においてこのようなソーシャルワークがよって立つ基盤となれる研究を今後とも進めてまいりたいと考えております。
ご参会の皆様方のご指導ご協力を賜りたくお願い申し上げて、日本医療社会福祉学会からのご挨拶とさせていただきます。