椋野美智子の研究室にようこそ

椋野美智子の研究室にようこそ。この部屋では、社会保障や地域と福祉について椋野美智子がかかわったこと、考えたことをお伝えしていきます。

2017/12/23

幼児教育無償化と介護保険



にっぽん子育て応援団のメールマガジンの巻頭言に、幼児教育無償化を老人医療費無料化と比べて書いた内容を紹介します。


128日に2兆円の政策パッケージが閣議決定され、3歳から5歳までの幼稚園と保育所、認定こども園の利用料と、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の利用料が無償化され、待機児童解消のための受け皿づくりも前倒しされることになりました。

子どものために財源が確保されたのはよかったのですが、社会保障の研究者としては1973年の老人医療費無料化が思い起こされてなりません。外来のサロン化と社会的入院の増により医療費が激増し、本来取り組むべき予防のための保健事業開始まで10年、ゴールドブランによる介護サービスの整備開始までは16年、さらに介護保険創設までは27年の年月が費やされました。

今、介護は、サービスが必要になったとき、ケアマネが来てくれ、利用のマネジメント、申請代行、事業者との調整をしてくれます。希望の施設に入所できない場合は、代わりの介護保険サービスを紹介しアレンジしてくれます。介護保険にもさまざまに問題はありますが、子育て支援は全然そこまで行き着いていません。

今回の政策パッケージだけではまだまだ子育ての課題は解決しません。待機児童の解消はもちろんですが、放課後児童クラブや地域子育て支援事業、虐待防止や社会的養護、子どもの貧困への対応など、応援団はこれからも力いっぱい子育てを応援していきたいと思います。