リーフレットには、「『総合事業』を活用して地域に移動・外出支援を創り出すために」「先行事例を活かして第一歩を踏み出すために」「既存の活動団体があった地域の事例」「既存の活動団体がなかった地域の創出プロセス」「市町村担当者と生活支援コーディネーターのお仕事」「「みんながぶつかる共通の『壁』どう乗り越える?」など市町村が移動支援に取り組むためのわかりやすく具体的な助言がまとめてあります。
一つでも多くの市町村で介護保険を活用して移動支援が進むよう、今年度は、委員会で市町村や地域の支えあい団体などの相談支援にも取り組むこととしています。
私が執筆したリーフレットの冒頭部分を紹介します。
「『総合事業』を活用して地域に移動・外出支援を創り出すために
なぜ「総合事業」に訪問Dが入ったのか
社会参加や社会的役割を持つことは、生きがいや介護予防につながります。でも、移動・外出ができなければ社会参加も難しく、もちろん通院、買い物にも困ります。地域には自力では移動・外出が難しい人がたくさんいます。だから、移動・外出を支援する活動が訪問サービスの一類型、訪問Dとして新しい介護予防・日常生活支援総合事業(以下、「総合事業」)に入ったのです。
何のために移動・外出支援が必要なのか
移動は目的ではなく手段です。誰が何のために移動したいのか、そのニーズを把握するところから始まります。公共交通が整備されていて、それを活用できない要支援や要介護の人たちだけが困っているのか、それとも、自家用車抜きでは生活が成り立たない地域で、自立度が高くても自家用車を運転しない人は移動に困っているのか、それによってつくる仕組み、使う制度が違います。また、隣町にある病院やスーパーに行きたいのか、それとも地域にあるサロンに通いたいのかでも、やはりつくる仕組み、使う制度は違ってきます。
地域にはどんな資源があるのか
地域によって使える資源は違います。福祉有償運送団体や通院等介助など既に何らかの移動支援を行っている事業所はありませんか。社会貢献意識のある大きな社会福祉法人でデイサービスの送迎バスをもっているところはありませんか。まだ具体的には何もなくても、住民の間に強い支え合いの意識があれば、それも素晴らしい資源です。
移動支援に「総合事業」を使うと何がいいのか
既に福祉有償運送団体が活動しているところでも、総合事業を使うといいのは何故でしょうか。福祉有償団体の多くは赤字で、他の事業から補てんしています。単独補助をしている市町村もありますが財政状況によって左右され、いずれも、資金的に事業の継続性が確かではありません。介護保険の総合事業の中にきちんと位置付ければ、財源がしっかりしてくるとともに移動支援の重要性について関係者の意識が高まり、移動・外出支援の継続や担い手の確保にもつながるでしょう。まだ移動支援の活動がない地域ではなおさらです。新・総合事業に位置付ければ、仕組みづくりに生活支援コーディネーターや協議体が活用できます。
「総合事業」をどう使うか
移動先を限定しないで支援できるのは、訪問Bや訪問Dの1です。必要なのが地域のサロンへの送迎だけなら、訪問Dの2が一番使いやすいです。一方、自立度も高い人が対象者にたくさんいるのであれば、一般介護予防事業がいいでしょう。ニーズに合わせてうまく制度を使い、委託や補助によって地域の資源をしっかり育てましょう。まずは、次期介護保険事業計画に「総合事業」で移動支援に取り組むことを書き込みましょう。そこからすべては始まります!