椋野美智子の研究室にようこそ

椋野美智子の研究室にようこそ。この部屋では、社会保障や地域と福祉について椋野美智子がかかわったこと、考えたことをお伝えしていきます。

2015/12/29

1年を振り返って

今年は、4月の大分市長選に立候補し、残念な結果とはなりましたが、多くの方に支えられ、得難い経験をしました。ご支援に心より感謝申し上げます。


その後も社会保障や地域と福祉にかかわる活動をさまざまに行いました。

7月には、佐賀関本神崎で「見守りネットワーク活動の取組み」について地元の方のお話を伺い、今後の超高齢化社会を支える地域づくりについての研究会を開催しました。

11月には、昨年から企画していた「第19回大分大学福祉フォーラム」と「アートミーツケア学会大分大会」を実行委員の中心となって開催しました。アートの力は、障がい者や高齢者の元気をひきだし、普段つきあうことのない人々の間につながりを創り出します。大会とフォーラムには、市内県内はもとより全国からたくさんの方が参加されました。

今年は大分市に県立美術館もでき、県内各地ではさまざまなアートイベントが開催されています。賑わいづくりや観光振興だけでなく、アートの力で異質なものを受け入れる寛容なコミュニティを創り出したいと考えています。なぜなら、異質なものとの出会いがイノベーションを生み、寛容なコミュニティが若い人を呼び込むからです。そしてなにより、自由にものを言える寛容な社会は民主主義の基盤だからです。また、2018年度大分での国民文化祭の開催に向けた、障がい者アートの振興もこれから取り組むべき課題の一つです。

大分大学の客員研究員として生活困窮者自立支援制度の研究を同僚の先生方と行いました。縦割りの制度の狭間に落ち地域から孤立して困窮している方々の支援を通じて、制度を編み直し、地域をつなげるための政策のあり方、支援の方法を研究しています。

大分大学大学院で社会保障政策論の講義を行ったほか、連合大分の男女共同参画研修や、地域包括ケアを支えるボランティア研修などの講師をつとめました。また、福祉の研修会やアートのイベント、工業団地の会合などにも参加していろいろな人と出会いました。野外保育の推進に取り組むNPOや不登校の子どもの支援に取り組んでいる若い人もいましたし、精神障害者の地域生活を支えるために、不動産事業者と弁護士と医師が集まったこともありました。大分の地域と福祉のために思いと志を持ついろいろな方をつないでいくのは私の大切な仕事の一つだと思っています。


奇しくも、9月に出された安倍政権の成長戦略の新3本の矢は「強い経済」と「子育て支援」と「社会保障―介護離職ゼロ」でした。これは、福祉を充実することにより経済を伸ばすこと、つまり私が訴えていた「福祉と経済の好循環」にほかなりません。党派を問わず、そこにしか日本の未来を拓く王道はないのだと思います。しかし、国ができるのは必要な財源を用意し、制度の枠組みを作ることまで。そこに魂を入れるのは自治体であり、私たち市民一人ひとりです。だから、ここ大分の地で、私は私にできることを続けていきたいと考えています。

来年2月27日には生活困窮者自立支援制度について大分大学で福祉シンポジウムを開催します。3月には、15 年前に初版を出した社会保障の教科書「はじめての社会保障」の第13版を刊行します。おかげさまで、全国の大学で毎年1万人の学生さんに使っていただいています。9月には日中韓の研究者が集まる社会保障についての研究会を大分で開催します。

 来年が皆さまにとってよい年になりますよう心から祈っています。